不動産会社の「囲い込み」の弊害とその対策について解説いたします。
囲い込みは売主さんの身近に起き得る問題です。不動産の売却をお考えの方は要チェックですね!
そもそも「囲い込み」ってなに?弊害は?
囲い込みとは、不動産会社に仲介を依頼して販売活動をする場合(専任媒介契約に限る)に、依頼した不動産会社が他の不動産会社に物件を仲介させない(情報を出さない)ことです。囲い込みをされると、売主は潜在的な買主を逃すことになり、早く高く売るための弊害になり不利益を被ります。
囲い込みが起きる理由
ではなぜ、不動産会社がそのようなことをするのでしょうか?それは、不動産会社がもらえる仲介手数料の受領額が半額になるからです。仲介手数料の受領の仕組みから見ていきましょう。
不動産会社が仲介手数料を受領の仕組み
不動産会社が仲介手数料を貰えるのは次の場合です(売買の場合)。
- 不動産会社の仲介で不動産を売却したとき
- 不動産会社の仲介で不動産を購入したとき
そして、どちらか一方からのみ仲介手数料をもらう場合を片手仲介といい、両方からもらう場合は両手仲介といいます。
片手仲介と比較して、両手仲介の場合は、不動産会社がもらえる仲介手数料の上限額が2倍違ってきます。
両手仲介にしたいがために囲い込みをする
状況によって、一つの取引で仲介手数料が2倍になるってすごいですよね。不動産会社のやることが純粋に2倍になることもありますが、全てが2倍になるわけではありません。2件の取引を成約する労力ほどはかかりませんので、不動産会社としては利益率の高い嬉しい取引です。
しかしこの報酬が2倍になる両手仲介の存在が、悪い不動産会社を囲い込みに向かわせてしまっています。
(両手仲介の全てが悪いわけではありません。下記記事もご参考に)
囲い込みの手法
不動産会社が囲い込みをする場合は、電話での問い合わせが一般のお客さんなのか、不動産会社なのかで対応が異なります。
お客さんが電話する場合
問題なく、ちゃんと物件を案内してくれます。
他の不動産会社が電話する場合
次のようなことを言って、他の不動産会社のお客さんに物件を紹介できないようにします。
- 既に申し込みが入って契約予定
- ご案内の準備が整っていないのでまだ紹介できない
囲い込みが疑わしい状況
不動産会社と専任媒介契約を締結している場合で、次のような場合は囲い込みが疑わしいです。
- 価格が適正なのになかなか売れない
- ポータルサイトの閲覧数が多いのにお客さんの問い合わせがない
- 内覧のお客さんが仲介を依頼している不動産会社のお客さんのみ
上記はあくまで疑わしいと思える状況であって絶対囲い込みをしていると言えるものではありません。
価格が高すぎる場合は売れるのに時間がかかりますし、条件が良く写真がきれいに取れている物件はポータルサイトの閲覧数が増える傾向にあります。
また、内覧が仲介を依頼している不動産会社のお客さんのみの場合でも、その不動産会社が一生懸命物件を紹介してお客さんを連れてきてくれている努力の結果かもしれません。
ちなみに、一般媒介契約の場合は囲い込みの可能性はとても低いため心配いりませんね。
囲い込み対策と調査
アメリカ等では、そもそも両手仲介が禁止されており、それにより卑劣な「囲い込み」を法律で防止しています。日本では、両手仲介は合法で、両手仲介を行うための囲い込みのが横行しているのが正直なところです。成績を競い合う同僚同士でも囲い込みをしている会社すらあると聞きます。
売主さんとしては、囲い込みをされないかとても不安だと思います。囲い込みをされないように次の対策をしましょう。
釘を刺す
不動産会社に仲介を依頼するときに囲い込みをしないよう担当の営業マンに釘を刺しておきます。単純な方法ですが、一定の牽制効果はあるのでオススメです。
一般媒介契約にする
不動産会社に仲介を依頼するときに締結する媒介契約は3種類あります。囲い込みされるのは、そのうちの「専任媒介契約」もしくは「専属専任媒介契約」です。逆に一般媒介契約では、囲い込みをするメリットが不動産会社になくなります。どうしても気になる方は一般媒介契約を複数の不動産会社と締結して下さい。その際は、一般媒介契約のデメリットもしっかり確認しておきましょう。
別の不動産会社に調査してもらう
別の不動産会社に問い合わせてもらうと囲い込みしていることは一目瞭然です。知り合いの不動産会社があれば、そちらに頼んで調査してもらうと良いです。福岡市近郊の物件でしたら弊社でも無料でお調べしております。お気軽にお問い合わせ下さい。
囲い込みをされていたら
調べた結果囲い込みをされていたら、不動産会社を変えるのがベストですね。
しかし、また一から販売活動の打ち合わせや準備をするのは忙しい方には負担になります。
その場合は、一般媒介契約に切り替える方法もあります。一般媒介契約では、複数社の不動産会社に販売活動を依頼することで囲い込みを確実に防止できます。その際、一般媒介契約のメリット・デメリットも確認しておきましょう。
「一般媒介契約に切り替えたい」と不動産会社に伝えれば大丈夫です。
まとめ
- 囲い込みは、他の不動産会社が物件を紹介できないようにすること
- 不動産を高く早く売る機会をなくし、売主さんが不利益を被る
- 適正な価格で販売しているのになかなか売れない場合は囲い込みが疑わしい
- 確実に防止するには一般媒介契約が有効(デメリットもしっかり確認)
最後までお読みいただきありがとうございました。